【2015年初冬の頃】
2015年秋から暮れにかけて、私は私なりに奈良県の観光実態を研究し、併せて自身の持論を資料作成しパワポをまとめて上げました。
もともと企画屋ですから、資料集めも分析も、まあ日常的にやっていることなんで、大したことでもないのですが。(汗)
で、奈良県庁と、奈良市役所、奈良商工会議所、そして地元の南都銀行で観光関連の業務を担当されているT氏を訪問しました。
奈良の観光関係情報を収集しようということで、現在の観光行政や地元観光関連企業の取り組みを調べるための訪問でした。
こちらの迫力から若造に見えなかったからなのか、各所では色々な実態を教えて下さいました。
途中商工会議所の喫煙コーナーで、S氏という方と、談笑しました。
金融関連のお仕事をされている方で、高名な方です。
お名前は申し上げられませんが、非常によく分かる説明でした。
その取材などを通してわかったことは
修学旅行生で、奈良に宿泊する中高生はものすごく減少していること。
奈良の駅周辺で土産物屋や飲食店を経営しているのは、地元企業ではなくて、多くは他府県企業であること。それらの業者は奈良を草刈場として考え、奈良にはお金をさほど落とさないこと。
また地元の企業でもさほど意欲的な観光関連業者は多くないこと。
奈良は大きく分けて北和、中和、南和に分けられるが、観光行政などのはなしが県から出ると、
南和地区は、精も根も尽き果てていて、何を言っても動く気配なし。
中和地区は、やるからには最初に補助金くれというクレクレ状態。
北和地区は、何もやらなくても観光客はそこそこ来ているから。という状況だそうでした。
つまり、言い訳は別として、観光業者や関連事業に関しては、全県あげて何もしないという感じなのです。
それでも県の観光関連部署では、冬場に宿泊料を負担するとか、歴史的にも無関係なお祭りを創りだしたり、イベントをやろうとかしているのですが、あまり協力は得られていないみたいでした。
つまり奈良の観光とは行政が主導しても民間がさほど動かない。だから民間活力も感じられない。さらに儲けの多くは、他府県事業者が得ているという、なんとも情けない状況だったのです。
つまりこれが奈良の観光実態なのです。
その昔、鹿せんべいを作っておられるお宅を取材したことがありました。
高齢のオーナーが、焼きたての鹿せんべいを綺麗に丸く切りそろえておられました。
私がなぜ、鹿が食べるだけなのに、そんなにていねいにフチを切りそろえるのかと聞くと、「売り物花飾りや」と、高齢のオーナーがおっしゃいました。
たとえ鹿が食べるだけのせんべいであっても、来訪者にお金を出してもらう以上、少しでも見栄えを良くしたいというその気持は、奈良の多くの観光関連業者には、すでに存在しないのです。
まず、彼らにとって奈良は郷土ではありません。
したがって郷土愛はありません。
彼らにとって、奈良はビジネスのロケーションにしか過ぎないのです。
奈良はこのままでいいのだろうか。京都に対抗する気はないけれど、行政がそれなりに一所懸命になっているんだから、民間活力をなんとか出せないものか。そんな気持ちが沸々と湧いてきたのです。
そこで、心のなかで何かが再び弾けたのを感じました。そこで決心しました。これから郷土で何かをやってみようと。
奈良商工会議所での取材後、「近々奈良に引っ越しますので、その時は加入します」と約束して、会議所を後にしたことを覚えています。
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