コロナ禍の中での出店は、より慎重に

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廃業した店舗

奈良県内廃業店舗の47%が飲食業

コロナ禍における企業や出店というのは、かなり難しいですね。当方では昨年の二月以降当社も具体的な動きを停止していました。というのは表面上のことで、実はセミナーハウスにも、実経営にも適したような店舗を探し続けていたのです。で、結果的に2件発見できたのですが、両方とも結果的に先に決められました。
なぜ、当社が借りられなかったのか。実を言いますと、「エイヤー」という結論が出せなかったからなのです。

ではなぜ結論が出せなかったのか。

2件とも居抜き店舗で、以前は焼き肉店と喫茶店という構成でしたが、居抜き店舗は机いす、厨房機材などが付属しているから、簡単に開業できる反面、付属品の廃棄や入れ替えが難しかったり、造作の変更などにオーナーさんの思い入れが強くて、部屋を触れなかったりという問題が結構発生するものなのです。

さらに当社が決定に至らなかった理由には、コロナ禍があります。

今年の2月から急激に世界で大流行を始めた、新型コロナは外出の自粛などが世界中で叫ばれ、外食産業にも大きな痛手を与えました。
で、当社はウイズコロナ(コロナ流行中に、コロナとともに過ごす)の店舗経営を、かなりシビアに試算しており、哀しい数字が出るたびに保健所に相談や問い合わせを行い、試試算を繰り返す時間がかかりすぎてしまったと言うことなのです。
簡単に言うと、今回の物件は従来なら比較的簡単に運営し、さらに利益も月額20~30万円程度の利益確保ならどうと言うことのない物件だったのですが、ウイズコロナ下では、それだけの利益が出なくなっているからなのです。

結論から言うと、今回検討した物件のうち、1件は月間利益5万円程度なら、なんとかなるかもしれませんが、もう一件の店舗は赤字になるでしょう。
下手すると5万円の店舗も経営者の資質では、赤字になると思われます。

皆さんは、小さな喫茶店(カフェでもかまいませんが)計画するとき、売り上げ予測をどのようにされているのでしょう。
例えば、1日あたらいの来店数をどう計算されるのでしょう。
あるいは、お客様一人あたりのご利用単価をどう計算されるのでしょう。
この二点だけでも考えておかないと、経営は必ず失敗します。
勿論この二点をクリアする方法が、全くないわけではありません。
しかし、ある程度の売り上げを維持するためには、お客様の訪問数を稼ぐために、町中のロケーションの良い場所が必要になります。
ところがそのような場所の物件には、なかなか空き店舗がありません。
あっても、家賃や礼金、補償金が高いのが普通です。

また客単価を上げるためには、余程魅力的な提供メニューを考えなければなりませんし、調理の手間や材料費などもかさむことになります。
地元ではこのような時期ですが、新規の軽食飲食店が多く開業されていますが、素人が簡単に出店しているのではなく、経験者の出店が多いようです。
それだけに、お店の佇まいも居抜きではなく、新規で作り直し、店内も経営者のイメージ通り素晴らしい造作やレイアウトに仕上げられています。

素人経営者の多くは、希望値を目標数値ではなく、簡単に実現可能値と錯覚してしまう傾向にあります。
つまり、月商100万円という数字を思い描いた場合、その数字に至る根拠をあまり考えないで、この売り上げが上がるはずなので、設備投資はこれぐらいしようとか、スタッフはこれぐらい採用しようとか、メニューはこれぐらい用意しようとか、考えてしまって、あまりにもアバウトな損益計算しか行わないところにあります。

当方には毎月、提携会社から前月の廃業店舗情報が寄せられます。
7月に届いた全国の店舗廃業数は全国で1949店舗です。
そのうち奈良県では25店舗です。そのうち飲食関連が9店舗もあります。
また実際には25店舗の中には金融機関の支店統廃合が6店舗ありますから実際には19店舗が廃業したことになり、廃業店舗の47%が飲食業になるわけです。
これ以外に、休業のビラを貼って長期間休業中のお店を入れると、奈良県下の飲食店休業店舗は実際には数十にも上ることでしょう。
現に当方の事務所周辺にもそのような、開店休業店舗がいくつか存在します。

このような傾向は大都市ではもっと顕著で、飲食業の廃業は多くなっています。
それは詰まるところ、家賃が高いと言うことと、顧客の著しい減少が背景にあるからです。
奈良県のような、店舗家賃が比較的安い地域でもおよそ廃業の半分が飲食店舗であると言うことは、よほどしっかりとした経営計画を練らないと、廃業の危険性は身近に潜んでいるということを考えて、気を引き締めるべきでしょう。

次回はではどんな箇所を考えればいいのかと言うことについて考えて見ましょう。

※当社は奈良県下のシルバー世代における、年金不足対策としての飲食店起業を推進する、コンサルタントです。

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