顧客に何を提供するか

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飲食店開業時に、頭を悩ますのがメニューです。
できれば周辺の同業店舗とは差をつけたいし、儲かる商品を売りたいし、でも簡単に提供できるものにしたいし。食材調達は簡単にしたいし、でも在庫は持ちたくないし。

いろいろな都合のよいことを考えて、いろいろな料理レシピを見比べて、で、結局調理ができないとか、食材がそろわないとか、調理機器が高価だとか、食材調達が統治では難しいなど、いろいろな言い訳の理由を見つけて、断念してしまうということもあるのではないでしょうか。
(ここでお話ししているのは、超初心者向けの開業に関わるもので、開業コンサルタントや食品会社と取引ができていないということを前提に書いています。すべてがクリアできればそれはそれで良いことなのです)

当方ではそれをいくつかの方法で改善する工夫を行います。
一番わかりやすいのは、応用のきくメニューを検討すること。つまり一つの商品を作る手間で、他の商品も作れるようになること。
たとえば、コーヒーを作る手間で、ココアも作れるし、カフェラテも作れるし、場合によっては、ハワイアンコーヒーも紅茶も作れるとか、考えれば、合点がいくでしょう。

このマシンはイメージです

しかしこのような仕組みでメニューを作るには、調理器具や食材に工夫が必要となります。
それをクリアできたときには、小さなお店でありながら、数十種類の食事や飲み物の提供ができるということになるのです。それは不可能ではありません。たとえば1台の珈琲マシンで10種類以上の飲料を提供するマシンを導入すれば、れは可能なのです。

ところで…………メニューの豊富さが売り上げに貢献するかというと、ここが難しいところなのですが、決してそうとも言い切れないのです。これには二つ以上の理由があります。そのうちのいくつかを紹介します。

1.メニュー数を維持するために必要な食材数量や、調理器具などの準備が必要になるのです。たとえればこんなことになりがちです。

私の叔母夫婦は三重県で中華料理店を経営していました。
二人とも横浜の中華街で修行を積んだので、かなりの料理ができました。読み方もわからない漢字のメニュー商品もたくさんありました。

で、使用人を入れて4名程度のお店だったのに、メニュー数は100を超えていたのです。その上どの料理を作ってもらってもおいしくて私が訪問する時間には、いつも大繁盛していました。
もちろんメニューの中にはきわめて特殊な食材を使うものがあったり、挽肉も、鶏、豚、牛、合い挽き、魚肉などが必要でしたし、フカヒレや乾燥アワビやナマコも種類がたくさんありました。

さらに、宴会や仕出しなどの料理も引き受けるため、季節の果実も常時用意していました。
豪華な宴会では鯉の丸揚げみたいなものが必要となるのですが、冷凍ではどうもよろしくないということで、いけすで鯉まで飼い始めました。

で、そのお店は繁盛したのかというと、まあ繁盛したのですが、それは別の理由でした。
近場の企業団地からの幕の内定食の昼食仕出し注文が多かったのと、ラーメンと餃子が本当にうまかったのです。
餃子に至っては開店前から開店中も、閉店後も包むほどの量が出ていたのです。もちろん年に数回しか鯉は使いませんし、季節の果物も傷んでしまい、客用に使われることも少なかったのです。

変わった野菜に至っては、大阪や東京の価格よりも割高なものを、名古屋や大阪から買い付けていました。もちろんそれでもないものは、横浜まで買い付けに行ってました。当時はライチなども冷凍がなかったのでわざわ取り寄せたりもしていたのですが、お客様になじみがなく、それほど注文は出ませんでした。蟹や特殊な魚も当然同じことでした。
お店はなんとか繁盛していましたが、叔母夫婦が作りたかった、豪華な中華料理ではなく、ラーメンや餃子が実際にはお店を支えていたのです。


メニューが豊富なことによるメリットとデメリットは数多くあります。ビジネスを始めてから、考えるのでは遅いのです。またメリットデメリットは、具体的な形で現れることもあれば、間接的に現れることもあります。上記の中華料理屋の例では、間接的に影響は現れてきました。それはどのような影響なのでしょうか。一度皆さんも考えてみてください。
飲食店経営は、「風が吹けば桶屋が儲かる」的なビジネスでもあるのです。

これは極端な一例ですが、メニューは多い方がいいのでしょうか。それとも少なくとも売れ筋をそろえる方がよいのでしょうか。
初心者の皆さんが開業されるときには、じっくり考えていただきたい部分です。

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